ファッション
2024/12/13
男女で異なる“普通のズレ”!どこまで流行を追えばいいのか?
女性から好感もたれやすいダウンジャケットの正体
男女で異なる“普通の感覚”ですが、言語化すると「男性の上品な着こなしを好きな女性は想像以上に多い」です。とくに年齢とともに、その傾向は強く、もはや社会人5年以降は、「学生時代までのカジュアルな恰好=子どもっぽい」という風に感じる女性もいます。
その背景を踏まえると、冬のアウターはコートが主流。とはいえ男性のなかには、どうにかダウンジャケットを活用したいという方もいらっしゃるのでは。たしかに最近では、オンオフ兼用可能なダウンジャケットも売り場に並ぶため、ドレス感あるダウンジャケットを選べそうです。
ところが選び方次第では、ダウンジャケットのカジュアル味を抑えられないため、今回はダウンジャケットをデートに生かす「冬のカジュアル服をデートで生かす方法」について、『男の服選びがわかる本』(池田書店)の著者が解説します。
ダウンジャケット姿が野暮ったくなる理由
着膨れしやすいから「太って見えるのでは」など、さまざまな理由から、印象面でダウンジャケットは損すると思われるかもしれませんが、意外にも合わせ方や選び方を誤解している方も多いのです。
たとえばダウンジャケットは、ショート・ミドル・ロングという丈感に分かれますが、ショートとロングについてはカジュアルな印象になりがち。ドレス感あるオンオフ兼用を選ぶには、ミドル丈が正解なのです。これはお尻が完全に隠れる状態からひざ丈のイメージのもの。
ちなみにショート丈のダウンは、「ジャケットが、はみ出てしまう」リスクからNGですし、ロング丈についても、ベンチコートのような印象では「都会的なデートに相応しい」とは言えません。つまり都会的な初回デートの食事にもマッチするダウンは、オンオフ兼用のミドル丈を選びたいのですが、それでもカジュアル味を押さえられないのです。というのはアウトドアをルーツにもつダウンジャケットは、その質感が、印象を大きく左右するからです。
実際のところ「天然繊維のウール地」ならばカジュアル味を抑えやすく、スーツ同様の生地感ということもあって、上品見えするわけですが、価格は上がってしまいます。そこで化学繊維であったとしても、テカテカした表面ではなく、繊維のような質感のものを探してみてください。化学繊維によくある「人工的な質感を避けること」でカジュアル味を減らせるのです。
ファスナーで変わる「デザインの印象」
ダウンジャケットといえば「ファスナー」を想起される方が多いはず。ところがオンオフ兼用の上品見えするもののなかには「ファスナーではなく、あえてボタン」というデザインを見かけます。
防寒という機能面から「ファスナーが好ましい」のですが、印象面においてはファスナーがプラスに働きません。だからこそファスナーながらも、チェスターコートのような比翼デザインで「ファスナーを隠す」ダウンも存在しますし、ファスナーの代わりに「ボタンのダウンジャケット」も見かけます。
もちろんショート丈のカジュアルダウンについては、この法則は当てはまりません。そして、カジュアルダウンを選ぶ場合、モンクレールやヘルノといった高級ダウンが大人に合うのですが、あまりに高額なので、ここではオンオフ兼用をすすめています。
ファスナーの代わりにボタンを付けることで、コートのようなクラシカルな印象に仕上がります。そしてこの手のダウンジャケットは、セレクトショップや百貨店など、ショップの価格帯は問わず、ドレスの売り場を意識してみてください。
どんなショップも、アイテムの用途ごとに売り場が分かれていますが、カジュアルの売り場を探しても、この手のダウンジャケットは見つかりませんし、仮に条件を満たすダウンであったとしても、アームホールが細身の型紙でつくられている可能性も否めません。
ダウンのみならずコートにも共通するのですが、カジュアルの売り場にあるアウターは、「ジャケットに合わせるもの」ではなく、「ジャケットの代わりのアウター」の可能性が高いのです。これではジャケットに合わせるには窮屈な状態ですよね。
ダウンジャケット姿が野暮ったい人の盲点
まず覚えておくべき事実として、ダウンジャケットのコーディネートは、大人にとって簡単とは言えません。というのも合わせ方次第では「カジュアルすぎる」し、また同時に「違和感ある合わせ方」も見逃せないのです。たとえばダウンジャケットに襟がついているシャツは、生活感が出やすいもの。というのも「ヨーロッパではシャツは下着」と言われていて、そのパブリックイメージは少なからず、日本人にも広まっているからです。ジャケットに合わせるシャツ姿は、スーツの着こなしイメージありますが、アウトドアを出自とするダウンだからこそ、下着が丸見えみたいな違和感を放ってしまいます。とはいえ対策がない訳ではありません。
まずシャツとセーターをセットで考えてみてください。シャツの生活感がいちばんあられるポイントが、お腹まわりです。シャツインしたお腹まわりが悪目立ちすることを避けるべく、セーターでお腹まわりを物理的に隠してしまいましょう。またパンツが及ぼす影響は大きく、私はダウンジャケットに「チノパンではなく、スラックス」を推奨しています。
このルールを守ることでスニーカー合わせでもカジュアルすぎないのですが、印象が締まらない場合は、スエード調のブーツで上品に仕上げてみましょう。さいごにダウンジャケットが似合いづらい骨格についてお伝えします。
ダウンジャケットが似合いづらい骨格の正体
女性ファッション誌で見かける骨格診断についてご存じでしょうか。3タイプに分類される骨格診断ですが、この考え方は、男性にも当てはまるもの。ちなみにダウンジャケットが苦手な骨格タイプは、ストレートと呼ばれる体形です。
太っている、痩せているにかかわらず、上半身に厚みがある方で、「着膨れして見えやすい」という特徴がある方は、いわゆるダウンジャケットが得意とは言えません。ですが似合うものがない訳ではないでしょう。
たとえばウールコート見えするダウンジャケット。代表的なブランドとして、イタリアのヘルノという高級ダウンメーカーのものが挙げられますが、コート見えするため、骨格ストレートの方にも相性良いのです。ここまでデートに行っても、カジュアル過ぎない大人のダウンジャケットの工夫をお伝えしてきましたが、それでもデートではコートの方が女性ウケすることをお忘れなく。
■著者プロフィール
森井良行(もりい・よしゆき)
ユニクロさえもカッコよく着こなす!がコンプセプトのファッションスタイリスト。
弊社代表の友人でもあり、30代40代のためのパーソナルスタイリスト「エレカジ」代表。
<エレカジ公式サイト>